訪日旅行者は飲食店の何を比較する?料理ジャンル・場所・予算の見せ方
目次
この記事のまとめ
訪日旅行者に選ばれるためには、「日本らしい店」という紹介に加え、何を食べられ、どこにあり、いくらで、どの条件で利用できるかを比較可能な形で伝えます。
- 調査の重視要因は、料理ジャンル75.4%、評価53.4%、立地47.5%、価格33.6%でした。
- 一人が複数の条件を選んだ結果であり、価格が低順位だから不要とは判断しません。
- 料理・場所・予算への適合を先に示し、そのうえで店ならではの体験と利用方法を補います。
比較の上位は、料理・評価・場所・予算
COLLINSの訪日旅行者調査では、京都の英語対応ツアー参加者354名に、飲食店選びで重視する要因を尋ねています。Q12は複数回答で、最も多かったのは料理ジャンルでした。[1]| 要因 | 回答人数 | 割合 |
|---|---|---|
| 料理ジャンル | 267名 | 75.4% |
| 評価スコア | 189名 | 53.4% |
| 立地・利便性 | 168名 | 47.5% |
| 価格・予算適合 | 119名 | 33.6% |
| 口コミ内容 | 97名 | 27.4% |
| 写真・視覚的魅力 | 96名 | 27.1% |
複数店を比べることを前提に、情報を揃える
夕食時に比較する候補数を尋ねたQ13では、2〜3店が241名・68.1%、4〜5店が50名、6店以上が23名でした。1店のみは30名、複数の選択肢を選んだ回答は10名として別に整理されています。[2] ここからは、候補を並べて検討する場面を想定した情報整備が考えられます。ただし、どの媒体をどの順番に見たか、比較の末にどの店へ行ったかを、この設問だけで特定することはできません。 COLLINSの2026年版レポートでも、比較されることを避けるより、価値と条件が伝わる状態をつくる方針を示しています。[3]自店の強みを長く語る前に、候補として判断できる基本情報を揃えます。料理ジャンルは、注文できる内容まで具体化する
「和食」「日本料理」という大きな分類に加え、どの料理をどの形式で楽しむ店かを示します。コースで旬の料理を味わう店か、天ぷらを単品で選べる店かによって、旅行中に組み込む食事のイメージは変わります。 代表料理の写真に、主な内容、調理や提供方法、単品・セット・コースの区別を添えます。写真だけでは分かりにくい料理でも、短い説明でどのような体験かを補えます。メニューの数を増やすことと、何を選べるかを分かるようにすることは別です。 店ならではの背景は、料理とのつながりで伝えます。地域の食材を使うなら、その食材がどの一皿でどう楽しめるかまで示します。日本らしさを抽象的に重ねるより、目の前の料理へ結びつける考え方です。場所は、住所の掲載から旅程との適合へ広げる
立地・利便性を考えるときは、住所が載っているかだけで終わりません。最寄りの交通手段、建物、階数、入口が分かり、次の予定に間に合う利用かを判断できる案内を用意します。 徒歩の目安や道順を記載する場合は、実際の経路と条件を確認します。観光地から近いことだけを強調しても、入口が反対側で見つからないなら不便が残ります。地図と外観、入口写真を組み合わせて点検します。 また、昼と夜で営業内容が違う店は、訪れる時間に選べる料理を示します。場所が近くても、希望する時間に食事を提供していなければ予定に合いません。立地と営業時間を別々に書くのではなく、利用を考える人が合わせて確認できる状態にします。価格は、安さより「その金額で何が含まれるか」を伝える
価格・予算適合は119名・33.6%が選んでいます。料理ジャンルより割合が低いことを理由に、料金を後回しにしてよいとはいえません。価格が条件になる人にとって、判断できる情報がなければ候補を残すことが難しくなります。 一人分か一皿か、コース全体かを明示し、含まれる品、別注文、追加費用の条件を整理します。最低価格だけを大きく出しても、予定する食事の総額が分からなければ、比較の材料として十分ではありません。 同調査の食費予算は「一人あたり一日」の予算を尋ねる設問です。[4]その数字を、一回の夕食に支払える上限や、自店の適正価格へ読み替えないようにします。調査の単位と、実際に販売する商品の単位を区別します。評価と口コミは、体験の具体的な裏付けとして見る
評価スコアと口コミ内容は、それぞれ別の要因として回答されています。店側の説明と、実際に利用した人が書く内容に大きな差がないかを確認します。高い評価だけを抜き出して、すべての人に同じ体験を保証するような伝え方は避けます。 レポートは、星だけでなく本文のテーマを読み、同じ指摘を店舗改善へ戻すことを重視しています。[3]料理の量、席の使い方、提供時間などの指摘が続くなら、現場と発信の両方を点検します。 写真も、きれいかどうかに加えて、現在の料理と席を理解できるかで選びます。過去のメニューや特別な撮影用の配置が、通常の提供内容だと受け取られないようにしてください。比較情報は、短い紹介と詳細の二段階にする
例えば架空の店舗を紹介するなら、「京都の中心部で、旬の魚を中心にしたコースをカウンターで楽しむ店」と、料理・場所・体験を先に伝えます。その下に、実際のコース料金、提供時間、席の条件、予約方法を置く形が考えられます。 一つの見出しですべてを説明する必要はありません。最初に何の店かを理解し、次に価格や席を確認し、最後に利用方法を選べるようにします。公式ホームページを比較・確認・予約の基準点にするという方針を、旅行者向けにも用います。[5] 同じ情報をGoogle、グルメ媒体、SNSに載せる場合も、文章を全く同じにすることが目的ではありません。価格、場所、提供条件は矛盾させず、各媒体の役割に合わせて詳しさを変えます。 同行者がいる場面では、店を探している人だけが納得しても予定が決まるとは限りません。料理・予算・場所・時間を一つの案内で共有できるようにすると、同行者も条件を確かめられます。これは調査で測定した共有行動ではなく、候補を比較する場面へ情報を具体化する提案です。 例えば、コース中心の店なら、代表料理の写真に、料金、利用時間の目安、席の種類、予約の要否を添えた概要を用意します。その先で詳しい料理や背景を読める順序にすれば、店の説明を何度も探し直す必要がないかを点検できます。掲載する内容は、実際のコース条件に合わせます。まとめ:店の魅力を、比較できる条件へつなぐ
まず代表料理、場所、食事の総額、利用方法を、初めての旅行者が説明できるか確認してください。 そのうえで、料理の背景や空気感を加えます。比較される条件と、ここを選ぶ理由の両方を示すことが、COLLINSの考える情報設計です。参考資料・執筆上の注意
- COLLINS株式会社「インバウンド観光客の飲食店の選び方」調査。保存済み集計表『インバウンド飲食店選びアンケート_集計分析(1)』「04_Q12-Q13_比較」(Q12:複数回答、n=354)。調査の公開先。
- 同集計表「04_Q12-Q13_比較」(Q13:1店30名、2〜3店241名、4〜5店50名、6店以上23名、複数選択10名。分母354名を維持)。
- COLLINS株式会社『飲食店の選び方・探索行動レポート2026』p.31(価値と比較条件、写真・価格・席、口コミを店舗改善へ戻す方針)。
- 同訪日旅行者集計表「01_属性(Q1-Q7)」(Q7:一人あたり一日の食費予算)。
- 同2026年版レポートp.25・30・32(体験価値、情報の一致、公式ホームページ)。
数値は京都の英語対応ツアー参加者354名の自己申告をまとめた保存済み集計表に基づきます。Q12は各要因の選択率で、最終的な来店の決定要因や因果的な効果ではありません。Q13の複数選択10名は別区分で、除外して割合を計算し直していません。店舗紹介例、情報の配置、確認手順はCOLLINSの実践提案です。
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