飲食店のターゲット設定は年齢・性別だけでよいか?

飲食店のターゲット設定は年齢・性別だけでよいか?

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この記事のまとめ

飲食店のターゲット設定では、年齢・性別に加え、利用する場面、求める体験、店を知って予約するまでの行動を具体化します。

  • 属性は顧客理解の材料ですが、それだけで利用目的や選び方を決めつけません。
  • 提供価値に合う利用シーンを選び、必要な情報と予約の入口を考えます。
  • ペルソナは仮説として使い、予約記録や顧客の声で更新します。
「ターゲットは30代女性です」。ここまで決まっていても、何を発信し、どの席やプランを見せるべきかが曖昧なことがあります。その人が、誰と、何のために来店するかが決まっていないためです。属性を出発点の一つとして使いながら、施策につながる顧客像へ進めましょう。

属性は不要ではないが、それだけでは行動を説明できない

2025年版指南書は、STPのセグメンテーションにおいて、年齢・性別・職業・居住地などの基本属性と、価値観・ライフスタイル、利用シーンを分けて整理しています。同じ属性でも、求める体験や行動が異なることを前提にした考え方です。[1] 例えば、同じ人でも仕事後の短い食事と、休日の記念日では、使える時間や確認したい情報が変わる場合があります。年齢が同じだから同じ価格帯を選ぶ、女性だから同じ写真に反応する、といった説明だけでは、この違いを扱えません。これは利用場面を考えるための例です。 属性情報は、来店できる場所や時間、生活背景を考える材料になります。一方、「どのような体験のために、この店を選ぶのか」という問いは、別に確認する必要があります。属性を捨てるのではなく、属性だけで結論を出さないことが重要です。

2026年調査では、年齢ではなく探索行動から五つに分類

COLLINSの2026年調査では、全国の20代〜60代以上の1,049名を対象に、認知・探索・詳細確認・予約方法などを分析しました。対象は、一人あたり3,000円以上の店内での外食を3ヶ月に1回以上する回答者です。[2] 公開レポートのクラスター分析では、年齢や性別を分類の入力にせず、店を知り、探し、確かめ、予約する行動と、SNS・AI経由で知った店への来店経験の回答を使っています。属性は分類後の特徴確認に用いました。[2] その結果、「グルメサイト比較・予約型」「Google絞り込み型」「SNS発見・体験確認型」「紹介安心型」「AI・SNS情報横断型」の五つが整理されています。同じ年代の中にも複数のタイプが存在するため、「年齢だけで使う媒体が決まる」とは捉えられません。[2] ただし、この五つは調査回答の相対的な特徴です。すべての消費者を固定的な五種類に分ける診断ではなく、同じタイプの人が毎回同じ行動を取るという意味でもありません。自店の顧客を考えるための参考として使います。

提供価値から、誰のどの場面に合うかを考える

COLLINSが重視する順番は、WHAT(提供価値)→WHO(顧客理解)→HOW(届け方)です。「この年代を集めたい」だけで進める前に、自店がどのような料理や時間を提供できるかを明らかにします。[3] 例えば、少人数で料理をゆっくり味わえる店なら、その強みが役立つ利用場面を考えます。同行者と落ち着いて話したいのか、料理人の説明を聞きたいのかによって、同じ席でも見せたい魅力と案内する内容が変わります。 ターゲットを具体化することは、それ以外の人を断るという意味ではありません。限られた写真、文章、発信の時間を使って、最も伝えたい価値と利用場面を明確にするための作業です。優先する相手を決めることと、対応できる顧客を狭めることを混同しないようにします。

顧客像を、四つの問いで具体化する

資料のSTPと行動タイプを実務へ置き換える方法として、次の四つを一枚にまとめることを提案します。詳細な人物設定を増やす前に、店舗の施策に関わる条件を整理します。
施策につながるターゲット設定の問い
視点 確認する問い
来店できる条件 どの地域から、どの曜日・時間帯に来られるか
利用シーン 誰と、何人で、何を目的に利用するか
求める体験 料理や空間を通じて、どのような時間を得たいか
探索行動 どこで店を知り、何を確かめ、どこから予約するか
例えば「近隣で働く二人が、平日の仕事後に会話を楽しむ食事」という設定なら、価格帯だけでなく、料理の提供形式や入店可能な時間も確認事項になります。店を探す際の検索語、席の写真、コースの説明まで、発信する情報へつなげて考えられます。 一方、その地域にいることが分かっても、営業時間中に来られるかは別です。顧客像には、店を好みそうかだけでなく、実際に利用する機会があるかも含めましょう。 探索行動については、最初に店を知る接点と、詳しく確認する接点を分けます。紹介で知った人も、メニューや席をホームページで確かめるかもしれません。「紹介客だからネット情報は不要」のように、一つの入口だけで必要な情報を決めないことが大切です。 媒体を使うことが分かっても、どの内容を確かめたいかは別です。料理写真を見たいのか、利用人数を知りたいのか、予約条件を確認したいのかを考えます。媒体名の一覧をつくるだけでなく、その接点で解消する疑問まで顧客像に書き込みます。

ペルソナを、架空の履歴書で終わらせない

2025年版指南書では、ペルソナを、属性・心理・商圏・利用シーンなどをもとに構築する架空の代表顧客像と説明しています。目的は、関係者が顧客の行動や期待を具体的にイメージすることです。[4] 名前、趣味、休日の過ごし方を細かく決めても、それがメニューや予約情報の判断につながらなければ、設定自体が目的になってしまいます。「席を選ぶとき何を気にするか」「同伴者へ何を説明したいか」のように、店舗が答えられる疑問へ落とし込みます。 また、架空の設定を事実のように扱わないことが大切です。実際に多い予約人数は記録、利用理由は顧客の回答、確認しそうな情報は仮説というように、何から分かった内容かを区別しておくと、後で修正しやすくなります。 複数の担当者で検討するときは、顧客像を読んで選ぶ写真や書く説明が一致するかを試します。異なる案が出たなら、その違いを利用シーンや必要条件へ戻して確認します。細かな人物像より、実務で判断が揃うことを重視します。

COLLINSの考察:ターゲットは、現場と発信で使って初めて具体化する

作成した顧客像は、写真を選ぶ場面、コース説明を書く場面、予約相談を受ける場面で使います。誰に何を伝えるかが担当者ごとに異なるなら、設定の言葉がまだ広すぎる可能性を確認してください。 顧客理解を更新する際は、見た目だけで年齢や目的を推測せず、予約時に分かる人数や利用条件、自然な会話や任意のアンケートで得た理由を参考にします。一部の声を全体の傾向と決めつけず、どの場面で見られた意見かを残します。 例えば、想定より短い食事を希望する相談が続くなら、対象者を間違えたと即断するのではなく、来店時間とプランの関係を確認します。届ける相手を変えるのか、説明を補うのか、体験の設計を見直すのかを分けて検討しましょう。

まとめ:属性の先に、来店の理由と選び方を描く

ターゲット設定は、年齢・性別を決めて終わりではありません。来店できる条件、利用シーン、求める体験、探索行動を組み合わせて、必要な写真・文章・予約案内まで具体化します。まず自店の代表的な利用場面を一つ選び、その人が店を選ぶために知りたいことを書き出してください。

参考資料・執筆上の注意

  1. COLLINS株式会社『飲食店のマーケティング指南書2025』p.24〜29(STP、基本属性・心理・利用シーン・商圏)。
  2. COLLINS株式会社『飲食店の選び方・探索行動レポート2026』p.5・16〜22・26(調査対象、探索行動による5類型、分類と属性の扱い)。
  3. 同2026年版レポートp.24〜27(WHAT→WHO→HOW、提供価値と顧客行動)。
  4. 同2025年版指南書p.30(ニーズ・ベネフィット・ペルソナ)。

調査の5類型は公開レポートに記載された分析結果を用いています。分類結果を今回再計算したものではありません。顧客設定、表、運用手順は資料を実務へ置き換えたCOLLINSの提案であり、特定の年代・性別の行動を一律に示すものではありません。

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